線路の話といいつつ保守用車の話です。
まあ、線路に関係するものということで……

保守用車は軽微な補修作業では使いませんが、
レールや道床、まくらぎの交換や道床の補充、道床つき固め、
レール削正からレール探傷に至るまでありとあらゆる用途で使われます。

このうち道床の総つき固めやレール削正、レール探傷等は
東急の場合自走可能な保線機械を有しています。
マルチプルタイタンパーはその一つですね。

しかし、砕石やレール、まくらぎ、その他軌道材料は
無蓋トロに積み込んでモーターカーに牽引してもらわなければなりません。

マルタイやスペノに比べて地味ですが、
そんな保線に欠かせない陰の立役者モーターカーを見てみましょう。


2018年5月某日 梶が谷保線機械基地にて 
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東急のモーターカーは松山重車輌工業製のようです。
各鉄道事業者で見かける保守用車には松山重車輛工業と新潟トランシスが多いですね。
このモーターカーはクレーン付、脱線復旧用アウトリガー付きです。
アウトリガーとは、車端床下両側に見える
縦長で下端が黄色に塗られた円筒形の物体のことです。

夜間の保守作業では、上下線を逆走したり、工事中の軌道のそばを通過したり、
レールやまくらぎ等の重量物を積み下ろしたりと
営業列車に比べアクロバティックな?動きをしますから、意外と脱線事象が発生しています。
また、軌道回路も死んでいるので追突事故も発生しやすいのです。

というわけで、さすがに横転を復旧することはできなくとも、
脱輪状態を自力復旧する機能があると助かります。
その機能を果たすのがアウトリガーと呼ばれる装置なんですね。
一定の範囲内であれば油圧で上下左右にジャッキアップして移動することが可能です。
脱輪状態から復旧できなければ営業列車に支障を来たしますから、
常用する機能ではありませんが重要な装置といえます。

2018年5月某日 梶が谷保線機械基地にて 
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クレーンを使用してトンバッグを積み込んでいるようです。
中身は砕石でしょうか?
東急には砕石運搬用の保守用車がありますが、
局所的な道床交換はこのような形で交換しているのかもしれません。

道床は、一定の区間を同時に交換したとしても
継目部や橋梁と盛土の施工境、排水不良等の条件の悪い箇所から
様々な理由で砕石が振動で削られるため劣化具合に差が生じていきます。
これを放っておくと軌道狂いが顕著になり、不快な揺れや最悪の場合脱線に繋がります。
そのため、定期交換周期よりも早く部分的な道床交換が必要となる場合もあるのです。

2018年5月某日 梶が谷保線機械基地にて
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こちらはレール清掃車というようです。
どういった目的で使用されるのかよくわかりませんが、
レール削正や各種軌道工事後のレール頭頂面の清掃に使うのでしょうか。
レールが汚れているとATC信号レベルが低下するらしいので、
その対策かもしれませんね。

模型の世界ではGMがモーターカー+トロの古いキットや
プラッサー&トイラ―製のマルタイを製品化しています。
しかし、現状ではそれくらいのものです。

梶が谷のような広い保守基地は少ないかもしれませんが、
本線横の横取り基地は結構な頻度で出現しますので
レイアウトのお供によいと思うのですがどうでしょう。
カラフルで目立ちますしいいアクセントになると思いますよ。