東急田園都市線は今や日本屈指の人気路線かつ混雑路線です。
かつて雑木林が立ち並び何やら物騒な地名が付くほどに人を寄せ付けないエリアを、
故・五島慶太氏がいち早く目を付け、首都圏のフロンティアを造成します。
それが多摩田園都市となりました。

多摩田園都市構想の根底にあるのが、エベネザー・ハワードが提唱する田園都市論です。
しかし本家本元の田園都市論とは、本来”都市と農村の結婚”という言葉に代表されるように
街の周囲を農村のごとく自然豊かな環境とし、その中に職住近接型の都市を形成することで
無秩序な都市の拡大(スプロール現象)を抑制するものです。
多摩田園都市は少なくともこの田園都市論に沿ったものにはなっていませんし、
たぶん五島慶太自身も、前例となる洗足・田園調布の経験から、
そのような都市づくりを目指していなかったのでしょう。
田園都市線は、皮肉にもその路線名とは裏腹に田園都市論と最も遠い存在と言えそうです。
こうして今も大勢の乗客を乗せて、職場と住処の”離れた関係”を結ぶのですから。

でも、田園都市線沿線は自然が多いことも確かであり、
閑静な住宅街のイメージに最も似つかわしい路線です。
今日はそんな田園都市らしさを感じさせる写真を探してみました。

2013年3月某日 青葉台~田奈にて 東急5107F
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東急5000系を流し撮りで。
ここは青葉台~田奈の間にあるトンネル傍にある階段途中から撮影するポイントです。
もう少し上から俯瞰で撮ったほうが多摩丘陵に立ち並ぶ住宅街が入ってより田園都市っぽかったかも。

2013年3月某日 青葉台~田奈にて 
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上写真傍にある公園から撮影。春っぽく明るく鮮やかに。
線路脇にこういう公園が多いのも田園都市線沿線の特徴です。

2012年2月某日 宮崎台~宮前平にて 東急8606F
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丘陵地帯を切り開いて鉄道を敷設したため、
切通や細かなアップダウンが多いのも田園都市線の特徴。
しかし急曲線や急勾配は避けているので、
起伏に富んでいる割に全線を通して比較的高速で通過できます。

2012年3月某日 たまプラーザ~あざみ野にて
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以前も同様の場所から縦位置で写したものを掲載しましたが、
こちらはクレーン2台がそろっており、まだまだ成長する田園都市のイメージといったところでしょうか。

多摩田園都市も田園都市線も開業から50年以上が経ち、成熟した都市といえそうです。
しかし、ラドバーン方式やクルドサックの採用、一部地区での電線地中化など、
先進的な取り組みが行われており、この都市の第二の人生が気になるところ。

さて、”明日の田園都市”はどんなものになるのでしょうか。