コロナ騒ぎが落ち着き始めたとは言うものの、気のゆるみが懸念されて再発が怖い今日この頃ですがいかがお過ごしでしょうか?
さて、本日はTwitterや公式HPで先行して発信しておりました企画のまとめ・詳細編!
nano factoryブランドより発売されておりますTKK8500系シリーズの3Dプリントキットですが、オリジナルに近い姿で残存していた8606Fが先日ついに廃車となりまして、その勇退を記念して8500系をオールリニューアルすることが決定されました!
※写真は設計途中です
本日は、現在までに進行しているリニューアルの様子や注目ポイントをご紹介いたします。
まずは前面修正の様子を
これで全ての設計変更事項が完了したわけではではありませんが、おおむね前面意匠に関してはこれで行きたいと思っています。
ワイパーがHゴムにブッ刺さっているのは気にしないでください💦
今後修正します。というかやはりワイパーは細すぎるのでエッチングでないと表現できないかもしれませんね。
前面での変更点は次の通りです。
・窓Hゴム別パーツ化
・窓隅R形状見直し
・貫通扉形状の全面的見直し
・ヘッドライト形状見直し
・テールライト形状見直し、ヒンジ追加
・塗り屋根縁表現追加
ちなみに現行品と実車の比較はこんな感じです。
まず、現行品CADレンダリングと実車、改良品CADレンダリングを比較してみましょう。
こうしてみると、現行品は製作時こそこれでベストとは思ったものの、窓や表示器隅のRが僅かに大きすぎるようです。
次に、現行品を3Dプリントした模型にして比べてみます。
特に貫通扉の窓に着目すると、実車と比べても、現行品設計CADと比べても横幅が広い気が……
貫通扉枠の凸形状が大きいのもマイナスポイントかもしれません。
また、現行品はHゴムがボディと一体になっています。
塗り分けづらいのを承知の上で、別パーツにしてHゴム部が奥まるのを嫌ったためです。
奥まるよりは悪くないのですが、実車以上に凸に盛り上がった結果、Hゴム周囲の縁に乗った銀塗料が光ったり影が付いたりしたことにより、窓周りの彫りが深く見えているように思います。
まるで化粧したときのハイライトやアイシャドーのような効果が図らずも表れてしまっているわけです。
ここから得られる教訓は、化粧による表情や印象の変化に惑わされないよう注意する……
ではなく(笑)、3Dプリント時の彫りの深さや開口部・凸凹形状の縁に現れるエッジの垂れを考慮して設計する必要がある、ということです。
前面窓に寄って
むしろ、逆に奥まってしまう可能性を考慮して設計上は少し大げさに凸にしています。
また、窓開口部の隅Rは実車をよく観察し現行品よりわずかにキツくしています。
そして、この形式は貫通扉周囲に特徴があるようですので重点的に見直しました。
まず、現行品でも再現していましたが、運転台側とは窓隅Rが異なり緩い形状を再現。
貫通扉枠は現行品で凸0.2mmから凸0.1mmと半減し、表現上の限界に近い薄さとしました。
貫通扉は実際に開きそうな表現に見せるため、ボディと貫通扉の間に0.15mmの隙間を設けています。
さらに新たな発見として、貫通扉Hゴムの凸具合の違いを再現しています。
運転台側や表示器窓のHゴムはボディ面に対して明らかに凸ですが、貫通扉窓Hゴムのみはボディと面一なのです。
上写真2枚目のアップを見るとよくわかると思いますが、貫通扉部のみHゴムが面一です。
また、貫通扉窓開口部の縁は0.05mmのごくわずかなテーパーを付けています。
実車前面
いかがでしょう?
ヘッド・テールライト表現
テールライトも形状を見直して、よりでっぷりした感じを出しました。
ヒンジは現行品にはありませんでしたが、こちらもヒンジを再現しました。
プリント時にどこまで表現できるか見ものですね。
8606Fはスカートがありませんが、設計しちゃいました。
連結器脇のステーがまだ出来ていませんが、いずれ作ります。
スカートが付いてLED表示にしてもしっかり似ていますね(笑)
意匠に変化がついても似てみえるのはよく設計できている証拠だと思います。
続いて側面。
こちらが現行品
こちらが改良品
変更点は次の通りです。
・客扉窓寸法見直し
・客扉クツズリ寸法見直し
・客扉枠R寸法見直し
・客窓サッシ形状見直し
・乗務員扉下部形状見直し
・乗務員扉枠R寸法見直し
・車体裾寸法見直し
・コルゲート表現見直し
・車番・社章凸表現見直し
となります。
特に窓・扉窓の寸法が変わったのが大きいですね。
現行品も設計図通りに作ってはいますが、サッシの細かい形状を考慮すると変更が必要でした。
扉窓は少し横幅を狭めまして、細長くなった印象です。
レンダリングして
普段乗車するときによく見るアングルですから、目の肥えた人にも満足できる形状を目指したいところです。
コルゲート表現の様子
今回は決定版として製作するべく、端部絞り表現も追加しています。
もっと言えば腰板の細いコルゲートの端部絞りはさらに複雑で、絞り部分の中央が窪んだような形をしていますが、さすがに再現限界と思われる0.05mmを下回るため諦めています。
いずれプリンタ性能が向上した際は、そんな表現まで再現できるのでしょうかね?
最後に、写真集
…………
さて、現在までに出来ているのはここまでです。
これで全てではなく、他にも表現したいものはいろいろとありまして、
・裾ジャッキアップポイント追加
・前面渡り板上昇形状再現パーツ追加
・屋根板端部形状見直し
・屋根手すり形状見直し
・ATC受電器・乗務員扉ステップ・密着自連形状見直し
・床下機器設計見直し
・TS-807/815台車設計見直し
・車内表現パーツ新規設計
・スナップフィット機構組込
……etc
と、改修項目が目白押しです。
より良い模型、より作りやすい模型を目指して鋭意製作していきたいと思います。
このコロナ騒ぎが収まれば仕事も忙しくなりそうですし、設計作業にどこまで時間をさけるかわかりませんが、今できる最良の技術を投入したいと思います。
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