FUSION360でつくるシリーズも、8500に始まりかなりバリエーションを増やしてきましたが、
懲りずに新シリーズに手を出しております。

今回は東急5200系でございます。
Twitterにて既報の通りですが、まとめておきたいと思います。
TKK5200 v14-1

8500、3450、国鉄207系900番台に続く完全新設計ですので、
まずは資料集めから。
いかに資料を集められるかがモデリングの良し悪しを左右しますので、
ある意味一番重要かもしれません。

このシリーズ開始に先立ち、上田電鉄の元東急5200撮影会がタイミングよくあったため、
ここぞとばかりに実車調査を行いました。

その様子は過去に記事にしましたね。
IMG_7892

さらに書籍から図面を手に入れます。
DSC_0691
使うのは旧5000系が表紙の鉄ピクだけですが、よくもまあこれだけ集めたものです。
この鉄ピク942号に旧5000系及び5200系の形式図がありますので、参考にします。
また、上田の撮影会で撮っておいた正面・妻面の正対画像をCAD上に取り込みます。

まずは車輛構体断面を描きます。
スライド1
このように、キャンバスに実車画像や図面画像を貼付け、
図面の寸法と実車断面のバランスを見ながらCAD上に線をスケッチしていきます。
この時、写真画像はレンズの歪曲や仰角による窄まりが含まれていることを考慮しなければなりません。
今回は撮影会で出来るだけ正対に近い条件で撮影できましたが、
それでも図面とは断面が合わない場合が多々あります。
また、図面は図面でいい加減な場合や寸法表記がないことがあり、
例えば今回の形式図からは屋根の半径が不明でしたので、
画像としてCAD上に取り込んだり、図面を直接ノギスで測ったりして近似値を割り出します。
特に古い車輛ほど資料の不備が多くなりがちですので、
最終的には己の審美眼が求められることはこれまでの記事でも再三お伝えした通りです。

次に窓割を配置していきます。

スライド2
本当はここにキャンバスとして貼り付けた図面があるのですが、
一応著作物の中身ですのでここでは非表示とさせていただきます。

この窓割からわかる通り、今回は5200系デビュー当時の姿を再現しようと思います。
本当は側扉窓小窓化後の姿を考えていたのですが、別の方が3Dプリントモデル化するようですので、
先に登場時の姿から攻めることにします。

この側面図をあれやこれやしてボディをつくると、
スライド3
こうなります。

……えー、途中経過はまあ、押し出し機能をこねくり回すだけです……


ここでひと悶着ありまして、
どうしても前面のオデコがうまくいかなかったんですね。
このオデコについてはまったく寸法資料がないので、
ひたすら様々な角度から写真とにらめっこするしかないのです。
CADというより模写のイメージです。
しかし親切にもTwitterのフォロワーさんの助言を頂きまして似せることができました!
←Before After→
スライド9
こうしてみるとBeforeはちょっとひどいですね……
しかしAfterの方はかなり実車近づきました!
オデコの稜線がなだらかになり、光の反射の仕方が実車写真と同じになりました。
また、種別灯・テールライトケースも縮小し、窓間隔も左右0.1mmづつ縮めています。

斜め前から
スライド7
この顔ですよ!

細かいディテールも見ていきましょう。
TKK5200 v21-1
この"でっぷり"としたライトケースがいいですね。
コルゲートも1本につき2山の凸がある独特のステンレスカー黎明期を感じさせる形状を再現しました。
まあ、これはCAD上ではうまく見えますが、3Dプリント出力でどうなるかはまだ未知数……

登場時の姿がよくわかる角度から1枚。
スライド6
5200系登場時は、側扉窓が客窓とほぼ同等の大きさでコルゲート付きの扉。
また、客窓はステンレス製のユニット式で、後年のアルミサッシより枠が細く優美な外観でした。
乗務員扉も後年交換される前のサッシ形状が丸みを帯びたタイプを再現しています。

もちろん台枠も原型ですから、裾部コルゲートもしっかりありますよ。

妻板です。
スライド8
妻板台枠裾部には、連結器を避けるよう台形の2段の欠き取りがあります。
こちらもしっかり再現。
コルゲート上にかかる銘板も再現予定です。

屋根上パンタ台付近。
スライド4
まだ途中ですが、独特の通風機形状とパンタ台をできる限り再現します。
配管類やランボードを描かないといけませんね。

スライド5
車体内側ですが、窓周りは窪ませてボディの厚みが目立たないように留意しています。
この技は古来GM板キットの頃からの古典的な手法で、今のようなはめ込み窓が難しかった時代、
塩ビ板でガラスを表現する際にボディの厚みでガラスが凹んで見えないようにするための技でした。
しかし今思い返してみると、はめ込み窓は精度がよくないと窓パーツの厚みが目立って
逆に見た目を悪くさせるため、このほうが良いような気もします。


本日はここまで。
次回はディテールを増やして試作出力した現物をお見せできればと思います!
お楽しみに!