11月頭頃より運用入りせず、長津田検車区の奥で眠っていた8620Fが本日運用復帰したようですね。
事実上休車状態だったわけですが、検査期限の延期が目的だったのでしょうか?
今後の動きが気になりますね。

2012年3月某日 たまプラーザにて 東急8620F
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さて、検査周期的には8620Fの場合2018年10月で前回の全般検査より丸4年が経過します。

当ブログでも他サイトでも、鉄道車両の検査周期として4年を目途に1区切りとして
注目車両の検査入りや離脱の情報に一喜一憂していますが、
これはそもそも国の法令で定期検査の期間が定められているからです。
特に、"重要部検査"が4年と定められていることに起因します。

8500系の検査期限について
アクセスが多いようですので、おさらいまでに鉄道車両の検査に対する法体系を整理すると

鉄道営業法

鉄道に関する技術上の基準を定める省令
(第九十条第二項)

施設及び車両の定期検査に関する告示
(第五条および別表)

ここに鉄道車両の種類別に重要部検査と全般検査の周期が規定されています。

在来線の一般的な"電車"は

重要部検査:
四年又は当該車両の走行距離が六十万キロメートルを超えない期間のいずれか短い期間

全般検査:
八年


となっており、これは東急だけでなく全鉄道事業者が遵守しなければならない事項です。
しかし、”施設及び車両の定期検査に関する告示”第五条には、次の通り但し書きがあります。

ただし、耐摩耗性、耐久性等を有し、機能が別表の下欄に掲げる期間以上に確保される車両の部位にあっては、この限りでない。

つまりこの但し書きに従う通り、耐摩耗性、耐久性等を有していることが認められれば
検査周期を延ばしてもよいことになっています。
JR東日本では209系以降の一部車両に対して新たな検査基準を独自に設けているほか、
昨今ではJR東海の新幹線でも検査周期の見直しが話題となりました。

東急は今のところは省令通りの基準だったと記憶していますが、
(鉄道ピクトリアル2004年7月臨時増刊号より)
もしかしたら変わっているかもしれません。

変わっていない場合、8620Fは2018年10月までに必ず重要部検査を受けなければなりませんが、
”施設及び車両の定期検査に関する告示”第六条にはさらに次の文面が記されています。

使用を休止した車両(無軌条電車の電車以外の車両にあっては、使用を休止した期間中に発生するおそれのある腐食、変形、電気的絶縁の劣化等車両の強度及び機能の低下を防止するために必要な措置を講じたものに限る。)についての第五条の規定による検査に係る期間の計算については、その使用を休止した期間は、算入しない。ただし、算入しない期間は、次の各号に掲げる検査の種類に応じ、それぞれ当該各号に定める期間を限度とする。

一   状態・機能検査 二月(蒸気機関車にあっては、四十日)

二   重要部検査 二年(蒸気機関車にあっては、一年)

三   全般検査 四年


つまり、第五条の規定にある走行距離60万キロに達していなければ、
"使用を休止した車両"として最大2年は重検の検査期間として算入しなくてもよいことになっています。

この規定に従って休車扱い期間を延ばせば
8620Fは最大で2020年10月まで重要部検査を受けなくてもよいことになります。
また、8620F以上に検査期間の開いている8694Fは前回全検が2009年3月ですから、
検査周期8年+4年で最大2021年3月まで全般検査の猶予があることになります。

実際にはその前に走行距離が期限に達したり、2020系の増備が進むため
そう簡単に生き延びられるとは思いませんが、
一概に前回検査から4年経過したらすぐ検査入りや離脱とはならないのですね。


しかし休車明けや短距離運用制限解除後にいきなりガンガン走るというときは、
今後の処遇に目途がついたので走行距離制限一杯まで走らせている可能性があります。
いつもならその後まもなく検査入りとなりますが、8620Fの場合は如何に……